Lilityth -past memory-
――それは少し昔話になります。
私、リリティス=エルステアがアルヴェフランという名前だった頃のお話です。
幼かった私に降りかかったあの出来事は、私の人生の転換期であり――その日、私の世界の全てが変わってしまいました。
私は竜族の父と妖精族の母の間に生まれたハーフです。
この世界では、異なる種族間での結婚と言うものが全く無いわけではありませんが、一般的にはあまり好まれる事ではありません。その大きな理由として上げられるのが子孫を残す事ができない可能性があるという事です。
子供が作れない可能性が高いと知っていながら、親族達が快く賛同してくれるという事は多くはないでしょう。特に父方の竜族は貴族であり、特に血筋を重んじる種族だったために、世間体の問題も含めて一族から猛反対を受けたそうです。
ですが、そんな周囲の反対を押し切り、私の両親は結婚を選びました。
そして、そんな両親の間に産まれたのが私です。
母は私が生まれてから4年後に他界して、母親の事についてはあまり詳しく憶えていません。母親を早くに亡くした私でしたが、父の配下の方々に大切に育ててもらっていたので、寂しいと思う事はありませんでした。
元々、父は竜族でも最上位の爵位である公爵の称号を持ち、名の知れた人でした。
母親と結婚してからは辺境の地域ではありましたが、領主として街を治めていました。父が治めていた地域はとても平和で、それは父の努力の結果でした。
しかし、如何に平和な政治能力を持っていようと権力を持つという事は、敵を作るということでもあり、父のやり方に不満を持つ人達から、時に命を狙われたりする事もありました。
そんな環境でも私が平和に育ってこれたのは、父の強さや指導力、そして配下の方々の忠誠の固さのおかげだったのでしょう。

しかし――
私はその日、初めて命の危機にさらされました。