Lilityth   -past memory-


暗い倉庫のような部屋。

この部屋には、色々な魔動機の部品やそれを扱う工具が保管されています。

危ないからと私はほとんど入ったことのない場所なのですが、そこにベストルはいました。

彼の体からは大量の血が流れ落ちています。少しずつ感覚がなくなっていく体と意識――彼は精神だけでそれを支え、そんな危険な状態の中にありながらも、必死に部屋のある場所に向かっていました。

「お嬢さまを……守ってやってくれ……」

ベストルは願うように何かの起動装置に手を掛けそれを起動したのでした。

私は体を使って重い扉を開け、ふらつきながらも部屋の中に入りました。

そこは大広間で、ここに隠し通路があります。

大広間を数歩あるいて、部屋の中央で誰かが倒れているのに気づきました。

敵なのか、味方なのかは分かりませんが、大量の血が広がっていて、おそらく倒れている人は、もう……。

直視してはいけない、そう思いました。

しかし、どうしてもそちらの方に意識が行ってしまいます。そんな自分に見てはいけない、決して見てはいけないと言い聞かせ倒れている人の横を通り過ぎようとしました。

――と、その時、倒れているその人の側に見覚えのある剣が転がっている事に気づきました……その剣は折れていましたが、間違いなくヴォルケーノ――父の愛剣でした。

一つの可能性が頭を過ぎった時には、私はすでに倒れているその死体を直視していました。