Lilityth -past memory-
――強い痛み。
それによって消えかけていた意識が強引に現実へと引き戻されます。
「痛い……」
地面の泥の茶色に赤色が混じります。
「痛い……痛い……痛い」
突然に涙が溢れてきました。
痛みにより箍が外れ、今まで我慢してきたものが止めどなく、一緒に溢れてきます。
殺されそうになった恐怖、家族を失った喪失感、もう戻れない日常。
歪みが私の心を覆い尽くします。
「ああ……ああ……うああああああああああああんっ!!!」
――私は悲鳴に似た声で泣き続けました。

そこから先の事は何も覚えていません。
森の奥の方から明かりが近づいて来るのを微かに憶えているだけです……気づいた時には見慣れない部屋のベットの上でした。
森の中で倒れている私をバルトゥナが助けてくれたのです。
これが私の幼い頃の記憶――私と母さんの出会いのお話。
-おわり-