Lilityth -past memory-
「うん、なんだあのガキ?」
そんな言葉が聞こえて、三人の人が私のいる大広間の中に入ってきました。
まず最初に部屋に入ってきたのは、使い込まれた防具を身に付けた、いかにもいくつもの戦いを経験してきた風貌の男の剣士――先ほど聞こえてきた言葉はおそらくこの人のものでしょう。
次に部屋に入ってきたのが鎧を着ていますが、手には杖を持った――おそらく魔道士の女性。
そして、最後に入ってきたのは、まだ若く少し頼りなさげな青年の剣士でした。
「なんでしょう、死体を見つめて動きませんね――あの子」
魔道士の女性がそう言うと、それに青年の剣士が応えます。
「死体を見たショックが大きすぎて放心状態に陥っているのでは?」
「――おいガキ」
そう言って最初に入ってきた男に、私は頭を片手で鷲掴みにされ、そのまま左右に振られましたが――私は何一つ反応できませんでした。
「――駄目だこりゃ、完全に意識が飛んでやがる」
男のその言葉を聞き、少しだけ離れた場所で様子を見ていた魔道士の女性と青年の剣士も私に近づいてきました。
「……この子どうします?」
私の頭を掴んだままの――リーダーと思われる男に、魔道士の女性が指示を仰ぎます。
「こいつもここの一味なら、殺すべきだろ」
リーダーの男は迷いなく答えます。
おそらく、この人はこのような経験を多く重ねて来た人なのでしょう。
使い込まれた装備だけではなく、多くの経験を物語る雰囲気がその男からは感じられる気がします。
「無抵抗な子供……さすがに気が引けますね」
青年の剣士の方は、あまりこう言った状況には慣れていない様子です。そんな彼にため息を吐きながら魔道士の女性が言います。
「こういうのにも慣れないと大変よ――中途半端な事をした結果、後々復讐とかされても困るしね……」
「まぁ、今は俺が引き受けてやるが覚悟はしておけよ」
未熟な青年の剣士にそう言うと、私の頭を掴んでいたリーダーの男の手が頭から離れ、その手は腰に吊るした鞘に向かい、そのまま鞘から剣を抜きました。
「悪いな、嬢ちゃん」
そう言って男は私に向かって剣を振り上げました。
兵士たちの声は聞こえていました――でも、そんな事はどうでもよかったのです。
その言葉、行動に反応する気すら出ませんでした……ここで男の剣によって殺されてもいいと。
でも、その時でした――。
壁をぶち破って何かが勢いよく飛び出して来たのです。
「なっ――なんだ!?」
剣を振り下ろそうとしていた手を止め、男は飛び出してきたものに意識を集中します。

――砂埃の中に浮かぶ大きな影。
その影からそれが異様なものだとすぐに理解できました。そしてその異様なものの首は何かを探すように左右に動き、そして私の方を見てその首の動きが止まりました。