Lilityth -past memory-
敵は聖英雄騎士団と呼ばれる人達でした。
聖英雄騎士団とは、妄想王国に仕える治安維持や警備を務める騎士組織の一つです。
騎士団を率いるのは英雄と呼ばれているジオート=ルフォニウス――ジオート本人の強さもさることながら、綿密な計画と統率能力で多くの実績を上げているそうです。
「あなたの首を頂に参りました――シュドリク=アルヴェフラン殿」
大広間に押し入ってきた数人の敵兵のうちの一人が、父に向かって言いました。
「――中々に手の込んだ事をしてくれたな……これでもスパイの進入を許さないように気を使っていたのだがな」
父は椅子の横に立て掛けてあった愛剣である、魔剣ヴォルケーノを手に取り、椅子から立ち上がりました。

「優秀な人材を数年前から忍び込ませていたものでね」
――敵兵は父に笑って答えます。
「おかげでとんでもない痛手だ……信頼していた部下が裏切り者だったというのも堪える」
しかし、父は敵兵の煽りには乗らず、淡々と言葉返します。
「すいません――勝つためには手段は選べないもので……」
言葉とは裏腹に、敵兵の表情からは全く謝罪の気持ちが伝わってきません。
「……英雄と名乗っている組織のやる手段ではないな」
そう言いながら父は敵兵達と対峙します。
「――聖英雄騎士団というのは先代の国王が付けたものなのでね……それに市民は結果しか見ないものですから」
「確かに、俺もその辺はよく理解しているつもりだ」
「だが――どうあれ責任だけは取ってもらうぞ」
――そして、父と敵兵はお互いに剣を構えたのでした。